ジャズアドリブ演奏コラム

Bright Size Life スペイシーと疾走感の共存を研究する

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パットメセニーの Bright Size Life をギターとデュオで演奏しました。
アドリブを2コーラス演奏しています。

練習時、どうしても上手くいかなかったタイム感

パットメセニーがジャコパストリアスと演奏しているオリジナルレコーディングの Bright Size Life が、聴いた瞬間、衝撃的に格好良く、これは是非とも演奏しようということになりました。

brightsizelife

最初に練習したとき、音源を参考にするとジャコパスがすごいラインを弾いているので、コード感を掴むのに2人で苦戦しました。

あの疾走感を出しながら、ちょうどよいタイム感をキープし続けることがどうしても難しく、いろいろなタイムの取り方を2人でたくさん研究しました。しかし、やはり上手くいかず・・。

どのように上手くいかないかというと、

  • オリジナルレコーディングのように演奏しようとすると、リズムがかなりふわふわして、不安定になってしまう
  • どこでタイムをとれば、あの疾走感とスペーシー感が忠実に再現できるのか分からない
  • 最初のメロディのフレーズ次第で、2人の疾走感と失速感が、どちらに転ぶか決まってしまう
  • まずどこを主軸にして取ると、あのタイム感・リズム感になるのか分からない
  • アドリブにおけるコード解釈が、わりと全員バラバラで、どの人の解釈を選んでもうまくサウンドさせるのが難しい

と悩みどころのオンパレードでした。

ライブ版の方が分かりやすかった

オリジナルレコーディングの研究がひと段落して、YouTube でライブ版を探ってみると

ギタリストの Ulf Wakenius とパットメセニーとのデュオを発見。

それを聴くと、なるほど Ulf さんは 基本的に

  • ダイアトニックコードは Dメジャー・ペンタトニック・フレーズで
  • サブドミマイナー・コードは Dマイナー・ペンタトニック・フレーズで

ずっと攻めているような感じに聴こえました。

パットメセニーは、コード1つ1つに合わせたフレージング/ジャズアドリブの基本的なコード解釈で、オリジナルレコーディングより何をやっているかが分かりやすく、こちらの方が参考にしやすいなあと感じるソロでした。
(でもオリジナルレコーディングの奇怪な感じ、大好きです)

2人のソロの対比も、後攻の Ulf さんがわざとつけているのだろうと推測しました。

そのあとで、リチャードボナとのバンド演奏ライブバージョンも発見。

そちらは、私たちが悩んでいたタイム感が、完全に分かりやすくとられていて「こうやれば疾走感は保てそうだね」という手掛かりになりました。

そして驚愕の事実

そこからグーグルで Bright Size Life を検索すると、驚きの記事を見つけてしまいました。

なんとオリジナルレコーディングは、参加したメンバー全員が「あのレコーディングは全然うまくいかなかった」と後に振り返る「悪魔のセッション」なるものだったそうです。

ヨーロッパで急足のレコーディングだったそうで、時差ぼけのメンバーもいたとか。

「それがあの謎感に繋がったのかあ」と答え合わせはできたものの、あれはあれで疾走感とスペーシー感が共存していて、再現不可能なところが格好良いのだよなあ、と2人で笑いました。

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