ジャズアドリブ演奏コラム

Dianne Reeves さんをブルーノートへ観に行きました

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渋谷菜々子-diannereeves

Dianne Reeves さんのライブをブルーノートへ観に行きました。

渋谷菜々子-diannereeves

ライブ鑑賞レポート

始まりはインストで、Softly As In A Morning Sunrise 。
「大学のときからずっと聴いていた、あのホメロルバンボさんだ・・」とグッとなりました。

観る前からこうなることは予想していたのですが、ついにダイアンリーヴスさんが2曲目でご登場された瞬間、グワッと身体中が熱くなって、あっという間に涙目になりました。

同じ空間に大好きなレジェンドが居るなんて信じられない、と身体が感じているようです。

次第にパフォーマンスの素晴らしさに自分のフォーカスが定まり、やっと色々と分析して聴けるようになってくると、

「このリズムの曲だと、刻みはどうやるんだろう?」と、思わず1曲丸ごとギターのみに集中して耳を傾けてしまったり

音の出し方や終わり方、伸ばし方を分析しているとき「そうかダイアンリーブスさんはビブラートをあまり多用しないんだ」と思っていたら、やはりMCで「ノンビブラートのマイルスに影響された」というお話しをされていて、
「そうかそうかあの美しい声の正体は、繊細で力強く、まっすぐ前に透き通るようで空間全体に熱波がブゥンとくるようなあの声は、たしかに」と今まで聴いたCDを頭の中で遡ってみたり

私の口は最初から最後まで開きっぱなしでした。

最後の曲とアンコールの All Blues では、コールアンドレスポンスがあり、
ダイアンリーヴスさんのスキャットをその場で皆んなでコピーして歌っていると「ダイアンリーヴスさんと一緒にスキャットしてる!しかもダイアンリーヴスさんのライン通りに!」と感激しました。
お客さんたちも皆んな古参のガチファンのようで、あの頃のフェスのような素晴らしい盛り上がり方でした。「良い時代が再来している・・」と思わず会場を見渡してしまうほどに。

バンドのメンバー紹介のスキャットも最高に楽しかったです。
「ルーベン・ロジャースさん(Ba)、ジョシュアレッドマンバンドをフェスで観たときにスカウトしたんだ・・」とか、テリオン・ガリーさん(Drs)のご紹介では「すんごいとこ見せてやれ!」といったラッパーのような紹介をされていたのも笑えて、会場は大盛り上がりで一体となっていました。

「こんなにやってくれるの?これの半分でも大満足なのに?」というくらい充実の内容で、ありとあらゆるスタイルの曲を盛り込んでくださったので、自分の音楽の勉強に全て活かしたい気持ちでした。

エレクトリックとアコースティック両方だなんて感激。
ギターとのデュオも2曲ありました。

メンバーの皆さん、終演後にお客さんと気さくにお話しされているのも印象的でした。

渋谷菜々子-diannereeves

Dianne Reeves さんの演奏は「立体」だった

バンド全員が物凄いレベルに到達していて、皆さんの演奏から感じたのは「立体」でした。

多面体がどんどん形を変えて、色を変えて、ある一定の形でもなくなって、物凄い塊の何かになりながら、どんどんどんどん動いていく、そんな印象を受けました。

インターステラーの映画のように、3次元ではない何かにどんどん形を変えてゆく、というような。

ダイアンリーヴスさんのスキャットはそれの究極で、CDで聴いていたときには見えなかった多面体の全貌が、ライブで物凄い熱風とともに身体から出ている感じでした。

立体的なアドリブ、立体的なスキャット、一生をかけて追求したいものでした。

Dianne Reeves さんの演奏との出会い

ダイアンリーヴスさんの歌が大学2年生の頃からずっと大好きで、
同じアルバムを、あの頃から毎日、何度も何度も聴いています。

これほど聴いても飽きずに、聴くたびにこんな気持ちにさせてくれるアルバムは私にとってこれだけ。
悩んでいても、嬉しくても、悲しくても、絶好調でも、いつでもピッタリなCDなんです。

聴いた瞬間から幸せになれるのもそうなんですが、
聴くたびに悟りを開くような感覚になる不思議なアルバムで

そして聴くたびに、大学生のあの頃の
自分の気持ちや見えていた景色、気温や匂いまでもが思い出されるので
いまだに聴いてはさまざまな感情が掘り起こされる、

私にとって唯一のアーティストなんです。

ギターの人と演奏活動をしてみたい!と強く思ったのも、このアルバムがキッカケです。

ライブ後にスキップしてしまった

ライブを全て聴き終わると、ものすごく身体が軽く、元気になっていると感じました。
ライブ後に表参道のイルミネーションをスキップしながら見に行ったくらいです。

ライブ鑑賞後は大抵いつも疲れ切ってしまうのですが、逆に元気になるライブでした。
終わった後に頭が冴えに冴えていて、なんだか悟りを開いたような、目の前がクリアになったような、いつもより強い集中力を自分に感じました。

観る側なのに、自分が演奏しているときのような集中を、無意識に、自然としていたんです。

Dianne Reeves さんは人を夢中にさせ、人にパワーを与えられるアーティストなのだ、と強く感じました。

「Feel So Good なことをどんどんして、どんどん自由になってください」
とライブの間中、何度も仰っていました。
(ホメロさんは演奏後、笑顔でロッケンロー!と叫んでいました)

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